「簡単なシステムを作ってほしい」を開発会社に断られたら
知り合いに紹介してもらった開発会社に、「そんなに難しいものではないんです」と説明した。担当の方は熱心に聞いてくれて、後日見積を出しますと言った。それきり連絡が来ない。あるいは、届いた見積が想像の5倍だった。あるいは「まずは要件定義から」と言われ、その要件定義だけで予算の半分が消えると分かった。
この記事は、そこで止まってしまった方に向けて書いています。断られたのは、あなたの依頼がおかしいからではありません。依頼の大きさと、相手の会社の原価の形が噛み合っていないだけです。理由が分かると、同じ依頼を「通る形」に直せます。
なぜ「小さい仕事」ほど断られるのか
開発会社が1件を受注するとき、規模に関係なく必ずかかる手間があります。金額が10分の1でも、この部分はほとんど減りません。
| 規模に比例しない手間 | 中身 | 案件が大きいと |
|---|---|---|
| 商談・ヒアリング | 訪問または打ち合わせを1〜3回 | 同じ |
| 見積・提案書の作成 | 作業を分解して工数を積む | ほぼ同じ |
| 契約・与信・請求の事務 | 契約書の確認、取引先登録、請求処理 | 同じ |
| 品質の手順 | 設計書、テスト仕様書、レビュー、納品物一式 | 同じ形式で用意する |
| 納品後の窓口 | 問い合わせを受ける体制を数年ぶん | 同じ |
仮にこの固定の手間が合計で60万円ぶんあるとします(大きすぎる想定ではありません。担当者と営業と管理部門が動く時間を足すとこの程度になります)。すると——
| 受注額 | 固定の手間が占める割合 | 会社から見た判断 |
|---|---|---|
| 50万円 | 120% | 受けるほど赤字 |
| 150万円 | 40% | ほぼ利益が残らない |
| 2,000万円 | 3% | 採算に乗る |
だから多くの開発会社は「最低受注金額」を持っています。300万円、500万円といった線です。あなたの依頼が断られたのは、その線より下だったからで、内容の良し悪しではありません。同じ大きさのまま次の会社に持っていっても、多くの場合は同じ結果になります。
もうひとつの理由:人が空いていない
開発会社の在庫は人です。大きな案件に人を張っている時期は、小さい案件は工数の谷を埋めるためにしか受けられません。「今は手が空いていなくて」は、断り文句であると同時に、そのまま事実であることも多いです。
断られ方には4つの型がある
言われ方によって、次にやることが変わります。
| 言われたこと | だいたいの意味 | 次の一手 |
|---|---|---|
| 「今は手が空いていない」 そのまま連絡が来ない | 最低受注金額に届いていない | 規模を変えずに他社を当てても同じ。範囲を小さくして出し直す |
| 見積が想定の5〜10倍 | その会社の標準の作り方(設計書・テスト仕様書・複数人体制)が丸ごと乗っている | 内訳をもらい、「どの項目を外すといくら下がるか」を聞く |
| 「まずは要件定義から」(有償・数十万) | 何を作るか決まっていない段階を切り出す進め方。方式としては真っ当 | 成果物が何か、それを他社に持ち込めるかを先に確認する |
| 既製のパッケージやSaaSを勧められる | 作るより買うほうが安い、という判断 | 合うなら素直に導入が正解。合わない部分が残るなら、そこをどう回すかまで聞く |
2番目の「見積が高い」は、値切る話ではありません。金額の大半は機能ではなく工程についているので、機能を削っても思ったほど下がらない代わりに、工程の前提が変わると大きく動きます。内訳を見せてもらう価値があるのはそのためです。
断られたあと、次にやりがちなこと
どれも間違いではありません。向く場面と、詰まりやすい場所があるだけです。
| 次の一手 | 向いている場合 | 詰まりやすい点 |
|---|---|---|
| 社内のExcelが得意な人がマクロで作る | その人が今後も面倒を見られる範囲 | 異動・退職で誰も触れなくなる。壊れたときに直せる人がいない |
| ノーコードツールで自作する | 入力フォームと一覧を作るところまで | 帳票の体裁、複雑な計算、印刷で行き詰まる。人数ぶんの月額が積み上がる |
| フリーランスに直接頼む | 相性が合えば費用も速度も最良 | 連絡が途絶えたときに引き継げない。ソースコードの受け渡しを決めていないことが多い |
| 業務パッケージを導入する | その業界の標準的な業務そのもの | 自社独自の部分が残り、結局Excelが併存する |
| 今のまま手作業を続ける | その作業が月30分程度なら合理的 | 月10時間を超えているなら、1年で開発費を上回る |
いちばんもったいないのは、断られたことを「この規模ではもう無理だ」と結論してしまうことです。無理なのは「今の依頼の大きさ」であって、困っている業務そのものではありません。
依頼を「通る形」に直す、3つの切り方
小さくする、といっても機能を我慢する話ではありません。最初に作る1つを決めることです。切り方は3通りあります。
1. 画面の数で切る
システム全体ではなく、いま最も時間を食っている1画面だけにします。受発注・在庫・請求・分析が全部ほしいとしても、毎日1時間かかっているのが「注文の入力」なら、まず入力画面と、その日の一覧を出す機能だけ。効果が出る場所と、範囲が小さい場所はたいてい一致します。
2. 使う人数で切る
全社ではなく、まず担当者1人か2人が使う形にします。人数が増えると、ログイン、権限、同時編集、通知が必要になり、規模が一段上がります。逆に言えば、1〜数人で使う道具なら、そこを全部省けます。
3. 今の様式をそのまま持ち込む
出力する帳票のデザインを作り直さないと決めるだけで、設計の議論がまるごと消えます。「今この紙をExcelで作っています」と現物を渡せば、それが仕様書の代わりになります。作り直したいものではなく、今あるものを渡すのがコツです。
依頼文を書き直してみる
断られやすい書き方
「受発注管理システムを作ってほしい。受注入力、在庫との連携、請求書の発行、売上分析まで。予算は50万円くらいで考えています」
相手が困る点:領域が4つある/既存システムとの連携範囲が読めない/規模と予算が噛み合わない。見積を作るだけで数時間かかるので、後回しになります。
返事が来やすい書き方
「毎日FAXで届く注文書が30枚あり、事務2名でExcelに手入力しています。1日およそ1時間です。入力する画面と、その日の出荷一覧を印刷する機能だけを、まず作ってほしい。今使っている出荷一覧のExcelを添付します。10月中に使い始めたいです」
同じ会社の同じ困りごとですが、これなら相手はその場で見積れます。範囲が閉じていて、現物があり、期限がはっきりしているからです。
書くべきことは4行だけです。
- いま何を、どれくらいの時間をかけてやっているか
- 誰が使うか(人数)
- 出したい紙・ファイルは何か(今の様式を添付する)
- いつまでに必要か
この4行があると、相手は「作れるか」ではなく「いくらで作るか」を考え始めます。断られる依頼の多くは、前者の判断に時間がかかる形をしています。
「1画面だけ作る」とどれくらいのものになるか:見積書ジェネレーター(デモ) 品目を選んで数量を入れると、金額の計算から印刷用の見積書までその場で出ます。画面はこの1枚だけ。範囲を小さく切るというのは、たとえばこういう単位のことです。登録もインストールも不要で、そのまま触れます。なぜ私たちはこの大きさを受けられるのか
冒頭の原価の話は、私たちにも同じようにかかります。それでも小さい仕事を受けられるように、次の4つを固定しています。
- 要件を1枚に固定する。最初のご相談への返信で「作るもの1枚(画面・機能・データ・納期・金額)」をお返しします。ここは無料です。有償の要件定義工程を置いていません
- 使う道具を絞っている。単一のHTMLと、必要なときだけクラウド側の仕組みを1つ。フレームワークを使わないので、環境を組む時間とバージョン追従の手間がありません
- 期間を先に決める。ライトプランは48時間。時間が決まっていると、要件が膨らむ前に形が出ます
- ソースコードをお渡しする。納品物には一式が含まれます。社内の方でも他社でも触れるので、私たちに縛られません
受けられない依頼もあります
基幹システムとの双方向のリアルタイム連携、法令で監査証跡や認定が求められるもの、数十人が同時に使う業務。これらは正直にお断りしています。その場合も「どういう規模の会社に頼むと良いか」を書いてお返しします。断るときに理由を書かないのは、いちばん困る返事だと思うからです。
よくある不安
小さく作ると、あとで作り直しになりませんか
データの持ち方(何を1件として、どの項目を残すか)だけ最初に決めておけば、画面と機能は後から足せます。実際に作り直しになるのは逆のとき——使われるかどうか分からないものを、最初に大きく作ってしまったときです。まず1画面を使ってみると、次に何が要るかは現場が教えてくれます。
他社に断られた案件を、そのまま持ち込んでもいいですか
はい。むしろそのほうが早く進みます。他社に送った依頼文と、返ってきた見積があれば、そのまま転送してください。どこに費用が乗っているのか、どこを切れば48時間で出せるのかを見て、「作るもの1枚」にしてお返しします。他社の見積を値下げ交渉に使うことはしません。
既存のシステムがあります。つながりますか
CSVで出し入れできる仕組みなら、たいていつながります。APIでの連携は1つまでをスタンダードプランの範囲に含めています。つながらない場合は「ここは手作業のまま残る」と最初に明記します。できないことを曖昧にしたまま進めません。
作ったあとの面倒は誰が見るのですか
納品から7日間は無料で修正します。その後は保守(月2件までの改修、不具合対応は無制限)をご用意していますが、入らなくてもツールは動き続けます。ソースコードをお渡ししているので、社内の方や他社が引き継ぐこともできます。
費用と期間
| プラン | 内容 | 期間 | 金額(税別) |
|---|---|---|---|
| ライト | 画面1〜2枚、機能1つ。個人〜数人での利用 | 48時間 | ¥98,000 |
| スタンダード | 画面3〜6枚。データ蓄積・ログイン・通知・外部連携1つ | 5営業日 | ¥298,000 |
| 保守・改修 | 月2件までの改修、不具合対応は無制限 | 月額 | ¥30,000 |
先ほどのFAX注文の例なら、入力画面と出荷一覧の印刷まででライトプラン。ここに「複数人がログインして使う」「過去の注文を貯めて検索する」が入るとスタンダードです。断られた依頼を全部あきらめる必要はなく、最初の1つを決めるだけです。いずれも初期費用のみで、月額の利用料はかかりません。
断られたときのメールを、そのまま転送してください
他社に出した依頼文、返ってきた見積や断りの返信、今使っているExcelがあれば十分です。どこまでなら48時間で出せるのか、何がライトで何がスタンダードなのかを1枚にしてお返しします。作らないほうが良いと判断したときは、その理由も書きます。相談は無料です。
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