「振込はありました。どの請求のぶんでしょうか」
ネットバンキングの明細に、支払日ぶんの振込が並びます。入金日と、カナの振込依頼人名義と、金額。請求書の控えを横に置いて、合う行から順に印を付けていきます。だいたいは合います。そして毎月、合わない行が何件か残ります。
先に結論を書きます。消込で時間を食っているのは「合う行」ではなく「合わない行」で、合わない理由は毎月ほとんど同じ数種類しかありません。ところが合わない行はその場で考えて解決してしまうので、理由がどこにも残りません。だから翌月、同じ考え直しから始まります。順番に説明します。
入金が請求額と合わない5つの理由
1. 請求書は1枚ずつ、振込は1回にまとまる
得意先は請求書1枚ごとに振り込みません。締め日までの何枚かを合計して、支払日に1回で振り込みます。つまり明細の1行に対して、請求は何枚も対応します。しかも「どの請求を含めたか」は、振込の側には書かれていません。
支払通知書が届く会社なら突き合わせられます。届かない会社では、合計が一致する組み合わせを探す作業になります。2〜3枚なら目で合いますが、十数枚だと総当たりに近くなります。1枚だけ含まれていなかった場合、どれが漏れたのかは差額の金額からしか分かりません。
2. 差し引かれて入ってくる
請求額と入金額がずれる理由は、だいたい次のどれかです。
- 振込手数料を先方が差し引く(数百円)
- 歩引き・割戻しとして支払時に一定率を引く
- 相殺——有償で支給された材料の代金、型代、手直しの費用、値引き
- こちらの請求が単価違い・数量違いで、先方の検収額のほうが正しい
ここで起きるのが取り違えです。差額が小さいと「手数料だろう」で流してしまいます。440円なら手数料ですが、同じ440円が単価の端数違いのこともあります。逆に差額が数万円あると、手が止まって調べることになります。差額の金額そのものより、「その得意先はいつも何を引いてくるか」を知っているかどうかで手間が決まります。そしてそれを知っているのは、たいてい一人だけです。
3. 振込名義が、請求先と違う
振込依頼人の名義はカナで、桁数も限られます。「カ)A」「Aショウカイ」のような形です。これに加えて、
- 支店に請求して、本社から一括で払われる
- 親会社やグループ会社の名義で入る
- 支払いを代行する会社の名義で入る
- 個人事業の得意先で、代表者の個人名義で入る
どれも「名義から得意先を引く表」があれば済む話です。その表は、たいてい人の頭の中にあります。経理の担当者が変わった月に、消込が止まるのはこれが理由です。引けなくなった入金は「不明」として置かれ、未入金の一覧には請求が残り続けます。
4. 期日に来るのが振込ではない
支払条件は得意先ごとに違います。月末締め翌月末払い、翌々月10日払い、検収月の翌月25日。さらに手形や電子記録債権で渡される場合は、受け取った日と、現金になる期日が別です。
約束手形は2026年をめどに利用をやめる方向が示されていて、電子記録債権や振込への切り替えが進んでいます。切り替えの途中では、同じ得意先でも月によって形が変わります。こうなると、未入金の一覧に残っている請求が「遅れている」のか「条件どおりまだ来ていない」のかが、一覧を見ただけでは分かりません。区別できないと、催促の判断ができません。
5. 一部だけ入る
検収が通った分だけ、出来高の分だけ入って、残りは翌月に回ることがあります(分納の納入残と同じ構造です——納入残と分納の数)。
このとき表の上で選べるのは2つしかありません。消すか、消さないか。消せば残りの30,000円が消えます。消さなければ150,000円が全額未入金のまま残ります。どちらも事実と違います。必要なのは「150,000円のうち120,000円が入って、30,000円が残っている」という書き方で、1対1で突き合わせる表にはその欄がありません。
この5つに共通していること
どれも経理の仕事が雑だから起きているのではありません。請求の単位(1枚)と入金の単位(1回の振込)が、最初から違うからです。1対1で突き合わせる表を作ると、1対多・多対1・一部という3つの形が入りません。表が足りないのではなく、入金の側に「どの請求に、いくら当てたか」を書く欄が1つ足りていません。そして差額の理由を書く欄も無いので、毎月同じことを考え直します。
本当に重いのは、月初の2時間ではありません
突き合わせそのものは、時間はかかりますが終わる作業です。重いのは、未入金の一覧が「本当の未入金」でなくなることのほうです。
いちばん効くのは催促のところです。合っているかどうか自信が無いまま催促すると、相手に確認の手間をかけます。一度それで間違えると、次から催促をためらいます。ためらっているあいだに1か月が過ぎ、資金繰りの側に出てきます。やっていないのではなく、言える形になっていないから言わないという順番です。
逆に言えば、差額の理由が画面に出ていれば催促はとても簡単です。「9月30日にいただいた348,260円は、No.1041から1043の合計348,700円と、振込手数料440円の差でしたので消しました。残っているのはNo.1038の1枚だけです」と言えます。この1文が言えるかどうかだけの違いです。
もう1つ、消込の記録は帳簿そのものです
どの入金をどの請求に当てたかは、売掛金の残高を出す根拠です。消込が追いついていないと、決算のときに年に1回、何か月ぶんもまとめて考え直すことになります。そのとき名義の別名表が人の頭の中にあると、当時の担当者に聞きながら戻ることになります。
売掛金は原則5年で時効にかかります(民法166条1項。2020年4月の改正後に生じたものについて)。催促しないまま一覧の下のほうに沈んだ請求は、取れなくなるところまで行くことがあります。当てはめの判断はこちらではしません(弁護士・税理士さんの領分です)。ただ「いつから残っているか」を日数で出すだけで、沈む前に目に入ります。
作るもの:3段階に分ける
第1段階:請求の一覧と、入金を当てる1画面
入れるのは2つです。請求(請求番号・得意先・請求日・金額・支払条件)と、入金(入金日・振込名義・金額)。入金はネットバンキングから落としたCSVをそのまま入れられる形にします。
操作は、入金の行を選ぶところから始まります。名義から引いた得意先の、まだ消えていない請求が、金額の近い順に並びます。当てる請求にチェックを付けると差額が出ます。差額に理由(振込手数料・歩引き・相殺・一部入金・要確認)を選んで確定します。
| 入金日 | 名義 | 入金額 | 当てた請求 | 差額と理由 | 残り |
|---|---|---|---|---|---|
| 9月30日 | カ)A | 348,260 | No.1041〜1043 | 440 振込手数料 | 0 |
| 9月30日 | B | 120,000 | No.1039 | 30,000 一部入金 | 30,000 |
| 9月30日 | Cサンギヨウ | 86,400 | 候補なし | 名義が未登録 | 要確認 |
| 10月1日 | D | 241,500 | No.1044 | 12,500 相殺(支給材) | 0 |
大事なのは、確定した理由が次の月に引き継がれることです。Cの名義を一度その得意先に結び付ければ、翌月からは候補が出ます。毎回手数料を引いてくる得意先は、差額が手数料の額と一致したときにその理由が初めから選ばれた状態になります。覚えるのを人の側から画面の側に移すだけで、2回目以降の手間が変わります。
出るのは3つです。未入金の一覧(得意先ごと・支払期日から何日過ぎたかの順)、消込の履歴(いつ・どの入金を・どの請求に・いくら当てたか)、そして得意先ごとの残高。印刷すると得意先に出せる残高の一覧になり、CSVでも出せます。
ここまでが第1段階で、ライトプラン(48時間)の範囲です。
第2段階:支払条件から期日を出す、自動で当てる
得意先ごとに支払条件(締め日・支払日・手形や電子記録債権の期日・歩引きの率・手数料をどちらが持つか)を持たせます。これがあると、未入金の一覧から「条件どおりまだ来ていないもの」を外せます。残るのが催促してよいものだけになります。前の節で書いた「言える形になっていない」が、ここで解けます。
次に、金額が完全に一致する組み合わせは自動で当てます。人が見るのは差額のある行だけになります。月に100件入金があって差額が出るのが10件なら、見る量が10分の1になります。自動で当てた分も履歴に残し、取り消せるようにします(自動で当てたものを消せない作りにすると、間違えたときに直す場所が無くなります)。
名義の別名表も、この段階で画面の中に出します。人の頭の中にある対応を一度書き出す作業は半日ほどかかりますが、一度やれば担当者が変わっても引けます。手形・電子記録債権は「受け取った日」と「期日」を別に持ち、受け取った時点で売掛は消えて、期日の入金として別に立つ形にします。
第3段階:複数人で使う、会計ソフトへ渡す
経理が複数人、または拠点が分かれている場合は、データの蓄積とログインが要ります。見るだけの人と、消込を確定できる人を分けます。誰がいつ消したかの履歴も残します。会計ソフトへ渡す仕訳のCSVを、この段階で出せるようにします。
ここまで入れるとスタンダード(5営業日)の範囲です。
逆に、期待しないほうがいいこと
- 会計ソフトは置き換えません。受け持つのは消込の手前——どの入金をどの請求に、いくら当てるか——だけです。確定した結果はCSVでお渡しします
- 銀行に自動でつながる作りにはしません。ネットバンキングから明細を落とす操作は今のままです。落としたCSVを入れていただく形にします
- 差額が何なのかは判断しません。手数料か単価違いかを決めるのは人です。画面は差額と、その得意先で過去に選ばれた理由を出すところまでです
- 下請法や税務の当てはめはしません。歩引きや相殺がその取引で認められるか、差額を売上値引として処理するかは、公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口や税理士さんの領分です。決まった形を教えていただければ、そのとおりに計算する画面にします
- 督促の代行はしません。催促の文面を画面から出すところまでで、送るのは御社です
- いつ入るかの予測はしません。過去の支払の癖から入金日を当てる機能は作りません。条件どおりか、遅れているか、何日遅れているかまでです
よくある質問
会計ソフトに消込の機能があります
入っていることが多い機能です。確かめていただきたいのは3つです。1回の振込を複数の請求に割り当てられるか、差額に理由を付けて残せるか、振込名義から得意先を引けるか。3つできるなら、新しく作る必要はありません。できるのは1つ目までで、3つ目が無い——という形が多いです。その場合に残っているのが、名義を見て得意先を思い出す作業です。
得意先は10社ほどです。そんなに大変ではありません
効いてくるのは社数ではありません。支払条件が何種類あるかと、差額が出る得意先が何社あるかです。全社が「月末締め翌月末払い・全額振込・手数料は引かれない」なら、条件は1通りなので表で足ります。手形の得意先が1社、歩引きの得意先が1社混ざった時点で、一覧の読み方が3通りに分かれます。
支払通知書が届くので突き合わせられます
届く分は楽です。残るのは2つで、届かない得意先と、届いてもこちらの請求番号が書かれていない場合です。先方の検収番号と金額だけが並んでいると、またこちらで照合することになります。通知書が届く得意先は先に消込を済ませて、残りに時間を使う形にします。
差額は雑損で落としています
金額としては小さいので、落とすのは一つの判断です。残るのは落としたという記録が無いことのほうです。同じ得意先が毎月引いてくる額が、手数料なのか歩引きなのか単価の違いなのかを、あとから言えません。1件数百円でも、得意先と月の数を掛けると年では見える額になることがあります。落とすのをやめる話ではなく、落とした理由を1語だけ残しておく話です。
入金のCSVの形が銀行ごとに違います
列の名前と並び、日付の書き方が違うだけです。御社がお使いの銀行の形に合わせます。複数の口座があるなら、口座ごとに読み込みの形を持てます。あとで銀行が変わったとき、形を差し替えるのは保守の範囲(月2件までの改修)です。
請求書は手書きです。別のソフトで出しています
請求の一覧がCSVで出せれば動きます。請求書を出す側を作り直す必要はありません。手書きの場合は、請求番号・得意先・請求日・金額の4つを入れる画面を付けます。締めて請求書を出す側そのものが重いのであれば、そちらは別の話です(締めと請求書づくり)。
データは誰が持つのですか
御社専用のURLで、御社のデータだけが入ります。他の案件に混ぜることはありません。入金の明細は社外に置きたくない、という会社が多いので、ライトプランはブラウザの中に保存してCSVで持ち出す形にもできます。言っていただければそうします。
費用と期間
| プラン | 内容 | 期間 | 金額(税別) |
|---|---|---|---|
| ライト | 画面1〜2枚、機能1つ。個人〜数人での利用 | 48時間 | ¥98,000 |
| スタンダード | 画面3〜6枚。データ蓄積・ログイン・通知・外部連携1つ | 5営業日 | ¥298,000 |
| 保守・改修 | 月2件までの改修、不具合対応は無制限 | 月額 | ¥30,000 |
第1段階(請求と入金の取り込み、名義から候補を出す消込の画面、1回の振込を複数の請求に割り当てる、差額と理由、一部入金の残り、未入金の一覧と経過日数、印刷とCSV)はライトプランの範囲です。支払条件から期日を計算する、完全一致を自動で当てる、名義の別名表、手形・電子記録債権の期日管理、複数人でのログインと権限、仕訳のCSVまで入れるとスタンダードになります。いまお使いの会計ソフトと、請求書を出している手順は、そのままで構いません。銀行のCSVの形を足す、差額の理由を増やす、催促の文面を直すといった調整は、保守の範囲で対応できます。
「この入金はどの請求のぶんか」を、毎月考え直さない形にします
得意先の数と、支払条件が何種類あるか、差額が出る得意先があるかどうか。それだけで十分です(社名は伏せていて構いません)。画面が何枚になり、ライトとスタンダードのどちらなのかを1枚にしてお返しします。全社が請求1枚ごとに全額を期日どおり振り込んでいて、差額が出たことがないなら、この仕組みは要りません。そのときは、その理由も正直に書きます。相談は無料です。
メールで相談する 入力フォームで相談する今いちばん手間になっている作業をひとつ教えていただければ、その作業に合わせた試作画面を 1 枚、無料でお作りします。
その作業をここに書いて送る(無料の試作画面を頼む) →入力フォーム。会社名・お名前・メール・作業の4項目だけです。メールソフトは要りません。
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