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「前回、どんな感じでしたっけ」

2026年9月21日 / 48時間ツール工房 / 美容室・サロンの顧客カルテと薬剤の配合

10時のご予約。お客様が席に着かれます。カルテを取りに行きます。五十音のファイルをめくって、ありました。前回の担当者の字で、こう書いてあります。「7/OX 1:2 20分 少し明るめ」。前回入った本人は、今日は休みです。7番に何を何グラム混ぜたのか、オキシは何パーセントだったのか、「少し明るめ」は前々回より明るいのか、ご希望より明るいのか。書いてありません。結局、お客様に聞きます。「前回、どんな感じでしたっけ」。お客様は覚えていません。「いつもの感じで」とおっしゃいます。

先に結論を書きます。これはカルテが無いから起きているのではありません。紙のカルテが1枚も無いサロンは、まず見かけません。問題はその先で、紙のカルテが「書いた本人が、次に自分で読み返すためのメモ」として作られていることです。書いた本人にとっては「7/OX 1:2」で十分に足ります。頭の中に、混ぜた剤とグラム数と、そのときのお客様の髪の状態が残っているからです。本人の記憶を前提にした記録は、本人が休んだ日には読めません。

前回の施術が引き継がれない3つの理由

1. 配合は「数字の組み合わせ」なのに、書く場所が自由記述

カラーの1回ぶんを再現するのに要る情報は、だいたい決まっています。

これだけの項目が、カルテの上では1行の空欄に押し込まれています。書く人によって書き方が変わり、忙しい日には削られます。削られるのはたいてい「次に効いてくる情報」のほう——グラム数と、仕上がりの評価です。色番だけは残るので、カルテは埋まっているように見えます。

2. 時系列が、1枚の紙に押し込まれている

1枚の用紙に入るのは、だいたい5〜6回ぶんです。埋まると裏に回り、裏も埋まると2枚目になります。2枚目はファイルの同じ場所に挟まっていればよいほうで、増えたぶんだけ抜け落ちます。

その結果、前回だけは分かるが、それより前が追えなくなります。「3回前に赤みが出たので、その次から色を変えた」という経緯は、紙をさかのぼれば書いてあるはずですが、施術の合間にさかのぼる人はいません。毎回、前回の1回だけを見て決めることになります。だから同じ失敗が半年おきに戻ってきます。

3. 「絶対に見落としてはいけない情報」が、メモの中に埋もれている

カルテに書いてあることのうち、性質がまったく違うものが混ざっています。

この3つが同じ平面に、書かれた順に並んでいます。1番目はいつでも最初に目に入る場所にあるべきものですが、実際には3か月前の行の右端に小さく書かれていたりします。担当者が入っている限りは、記憶が補ってくれるので問題になりません。代わりに入った日と、新しく入ったスタッフの日だけ、そこが抜けます。

この形の失敗には、音がしません

前回の配合が分からなかった日も、施術は終わります。お客様は「いつもの感じで」とおっしゃり、こちらは近い色を作ります。仕上がりが少しずれても、その場で言われることはほとんどありません。次のご予約が入らない、という形でだけ現れます。理由は記録に残らないので、何が起きたのかは分からないままになります。

「カルテをExcelにする」で止まってしまう理由

紙をやめようとしたとき、多くの場合はExcelが候補になります。ここで必ず2つのどちらかになります。

そしてどちらの形でも、施術中に見られません。Excelはバックヤードのパソコンの中にあり、席を立つ必要があります。実際には、開くのは閉店後です。つまり「見る時間」と「書く時間」が施術から切り離されるので、書く内容は記憶をたどったものになり、紙のときより薄くなります。3か月ほどで紙に戻ります。

「カルテをスマホで撮って、フォルダに入れる」も同じところで止まります。撮った時点で、中の文字は探せなくなります。お客様の名前で並べたフォルダの中から、日付を頼りに写真を開くことになり、紙のファイルをめくるのと手間が変わりません。

予約台帳と顧客カルテのデモを触る 美容室・サロン向けに作った実物です。お客様を選ぶと前回の薬剤の配合とアレルギーが並び、予約の画面から1タップで開きます。スマホでも開けます。入力した内容はお使いのブラウザの中だけに残ります。

画面にすると、何が変わるか

入り口が「お客様の名前」ではなく「今日の予約」になる

最初に出るのは、今日ご来店の方が時間順に並んだ1枚です。その行を押すと、その方のカルテが開きます。名前で探す操作がありません。五十音のファイルも、検索窓も要りません。新規の方だけが印で分かるので、受付の前に誰が初めてかも見えています。

配合が「メモ」ではなく「項目」になる

色番・グラム・オキシの濃度・放置時間・塗り分けの別を、それぞれ別の欄にします。自由記述は「仕上がりの評価」に残します。欄になっていると、空欄が空欄として見えます。書き漏れがその場で分かるのは、紙との一番大きな違いです。

そのうえで、前回の配合をそのまま写して、必要なところだけ直せるようにします。リピートのお客様は前回と同じか、前回から少しずらすかのどちらかがほとんどなので、実際の入力は数タップで終わります。「前回より赤みを1段落とした」が、変更の記録として残ります。

見落としてはいけない情報が、上に固定される

アレルギー・パッチテストの結果・地肌の状態・妊娠中かどうかは、時系列のメモとは別の場所に持たせ、カルテを開いたときに必ず画面の上に出るようにします。書いた日付が何年前でも、位置は変わりません。代わりに入ったスタッフでも、新しく入ったスタッフでも、視界に入ります。

履歴が縦に伸びるので、3回前までさかのぼれる

来店日・メニュー・担当・配合・仕上がりが、上から新しい順に並びます。紙の1枚に収まる必要がないので、1年前まで同じ画面で下に辿れます。「去年の夏も同じ時期に明るくしている」「このお客様は3回続けて赤みが出ている」が、めくらずに見えます。仕上がりの写真も同じ行に付けられるので、色の記憶に頼らなくなります。

施術の合間に、その場で見て、その場で書ける

スマホとタブレットで動く前提にします。セット面で開いて、薬剤を作る前に前回を確認し、塗り終わったところで配合を入れる。書く時間が施術の中に戻るので、内容が薄くなりません。入力はプルダウンと数字が中心で、文字を打つのは評価の1行だけにします。

ついでに、来店の間隔が出る

来店日が記録として溜まるので、そのお客様の平均の来店周期が自動で出ます。周期を過ぎた方が一覧に並ぶ形にしておくと、しばらくお見えでない方へのご案内がそのまま作れます。カルテのために入れた記録が、そのまま次の仕事に使えます。この部分は美容室・サロン向けのページに、他の業務と合わせて書いています。

いまの紙のカルテからの移し替え

よくご心配をいただくのが、紙のカルテを全部打ち直すことになるのではないか、という点です。そうはしません。

紙のカルテは、すぐにやめていただかなくて構いません。1〜2週間は今までどおり紙にも書いて、両方を見比べてから、合うと分かってやめる形をおすすめしています。

お客様の情報をどこに置くか

カルテには、かぶれや既往のような、扱いに気を遣う情報が入ります。保存の場所と範囲は、先にお店のご指定に合わせて決めます。

作らないほうがよい場合

次のどちらかに当てはまるなら、作らないほうがよいとお伝えします。

期間と費用

作るもの中身納期費用(税別)
カルテだけお客様の一覧、来店ごとの配合と評価、アレルギーの固定表示、印刷・CSV出力。予約はいまの予約表のまま48時間¥98,000
予約とカルテ上に加えて、予約表から1タップでカルテ、スタッフごとのログイン、来店周期からの再来の一覧、写真の添付5営業日¥298,000
あとからの手直し欄を足す、呼び名を変える、印刷の形を変える(月2件まで。不具合の対応は無制限)¥30,000/月

分かれ目は「複数のスタッフが同時に見るかどうか」「写真を溜めるかどうか」です。お一人で使って印刷できればよい、というのであればライトプランに収まります。どちらに当たるかは、いまお使いのカルテを1枚見せていただければ、その場でお答えします。

いまのカルテを1枚、見せてください

お客様のお名前を伏せた状態で構いません。紙のカルテをスマホで撮った写真1枚で十分です。画面が何枚になり、ライトとスタンダードのどちらなのかを1枚にしてお返しします。スタイリストがお一人で、配合がすべて頭に入っているのであれば、作らないほうがよいとお伝えします。相談は無料です。

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