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「あの見積、どうなりましたっけ」

2026年9月25日 / 48時間ツール工房 / 出した見積のその後を数える

朝礼で社長が聞きます。「先月A社に出した見積、返事ありました?」事務の人がメールの送信済みを遡ります。8月28日に送っていました。その後のやりとりはありません。忘れられているのか、先方の社内で止まっているのか、もう他社に決まったのかは、ここからは分かりません。出した見積の行方を確かめるのに、送信済みメールを遡るところから始まります。

先に結論を書きます。見積は「作る」仕組みはあっても、「出した後」を置く場所がありません。Excelの見積書も見積ソフトも、1枚を作って出すところまでを引き受けて、そこで終わります。返事が来たかどうかは、注文書が届くか届かないかでしか分かりません。要るのは、見積1件につき状態と、次に見る日が入った1行です。順番に説明します。

出した見積が追えなくなる3つの理由

1. 見積が「送った書類」で終わっている

見積書はPDFかFAXで出ます。出した瞬間にこちらの手元に残るのは、ファイルと送信済みメールだけです。ファイルには「その後どうなったか」を書く欄がありません。書き足すとしたらファイル名の末尾に「_受注」と付けるか、フォルダを移すくらいで、どちらも後から数えるときには役に立ちません。月に10件なら覚えていられます。30件を超えると、覚えているのは金額の大きい2〜3件だけになります。

2. 返事が来ないことは、何も起きない

納期が遅れれば電話が鳴ります。不良が出れば現品が戻ってきます。見積の返事が来ないことだけは、何も起きません。何も起きないので、気づくきっかけがありません。3週間たって「そういえばA社の件」と思い出したときには、たいてい先方の社内では話が終わっています。追いかけが遅れて落ちるのは、値段で負けたのとは別の負け方です。そして、こちらからは同じ「失注」にしか見えません。

3. 失注の理由が、どこにも残らない

決まらなかった案件は、たいてい何も書かずに終わります。「高かったらしい」までは分かっても、いくらなら通ったのかは残りません。次に同じ得意先から似た引合が来たとき、前回なぜ落ちたかを知らないまま、また同じ考え方で値段を出します。同じ理由で2回落ちても、2回目だと気づけません。

この3つに共通していること

どれも「営業が弱いから」ではありません。見積が案件ではなく、書類として扱われているだけです。書類は出したら終わりますが、案件は返事が来るまで続きます。この差が、出した後に空白を作ります。空白の中で決まった話は、こちらからは見えません。見えないので、対策も打てません。

本当に重いのは、催促の手間ではありません

催促の電話は1件3分です。重いのは、どれに電話すればいいのかが分からないことです。出した見積が月に30件あって、返事が来たのが12件だとします。残り18件のうち、まだ待っていいものと、今日かけるべきものが混ざっています。分けられないので、全部かけるか、1件もかけないかになります。実際にはだいたい後者になります。

この状態で起きていることは、だいたい次の3つです。

受注率は営業の成績表ではありません。見積を作る手間を、どこに向けるかを決める数字です。A社は出せば半分通る、B社は10件に1件しか通らない。この差が見えると、時間のかけ方が変わります。見えないままだと、声の大きい引合から順に手をつけることになります。

作るもの:3段階に分ける

第1段階:見積台帳(状態と、次に見る日)

列は、見積番号・得意先・件名(品番でも構いません)・金額・出した日・状態・次に見る日・担当・備考。状態は「作成中/提出済/返事待ち/受注/失注/保留」の6つで足ります。肝は次に見る日で、提出した日に自動で1週間後を入れておきます。その日を過ぎた見積だけが、翌朝の画面のいちばん上に並びます。

見積番号得意先金額(円)出した日状態次に見る日
Q-1041A社286,0002026-08-28返事待ち2026-09-04(過ぎています)
Q-1046B社74,5002026-09-08受注—
Q-1049C社512,0002026-09-11保留2026-10-01
Q-1052A社138,0002026-09-18提出済2026-09-25

※ 表の得意先・見積番号・金額は、形を見ていただくための見本です(実在の取引ではありません)。

新しく増える入力は、見積を出したときの1行と、返事が来たときの1クリックだけです。これ以上増やすと続きません。とくに「次に見る日」を毎回人に決めさせる形にすると、決めるのが面倒で空欄のまま溜まります。既定で入っていて、変えたいときだけ触る形にします。

第2段階:失注の理由と、その金額

失注にするとき、理由を1つだけ選びます。「価格」「納期」「技術・設備」「先方の都合で中止」「連絡が取れず終了」の5つで十分です。分類を細かくすると選ぶのが面倒になり、結局いちばん上を選ぶようになります。

この5つに分けるだけで、打つ手が変わります。「連絡が取れず終了」が多いなら、負けているのは値段ではありません。第1段階の「次に見る日」で減らせるのはこの分類で、価格で落ちたぶんは減りません。価格の行には、分かる範囲で先方の金額を入れます。入らないことのほうが多いので、空欄で構いません。3件に1件でも入れば、次の見積の材料になります。

半年ぶん貯まると、得意先ごとに「出した件数・受注件数・受注率・失注理由の内訳」が出ます。この表は営業の評価ではなく、見積の出し先と、かける手間を選ぶための表です。

第3段階:見積を作る手間との突き合わせ

見積1件にかかった時間を持つと、受注率の低い先に、重い見積を出し続けていることが見えます。図面を読んで工程を組む見積は1件2時間かかります。それを受注率1割の先に月5件出していれば、月10時間です。やめる判断ではなく、出し方を変える判断に使います(概算で先に返す、数量の条件を付けて出す、図面を読む前に予算感を聞く)。すでに見積の工数を記録しているなら、見積の時間と実際にかかった時間の記事の仕組みとそのままつながります。

第3段階は後回しで構いません。第1段階の「状態と次に見る日」だけで、追いかけ漏れはほぼ無くなります。ただし第1段階で失注を「行ごと消す」形にすると、第2段階を後から足せません(消えた案件は数えられないため)。失注も行として残すところだけ、最初に決めておきます。

逆に、期待しないほうがいいこと

よくある質問

見積は月に10件くらいです

その規模なら、この仕組みは要らないかもしれません。10件なら覚えていられます。効いてくるのは、返事待ちが常時15件を超えたあたりからです。ただし「件数は少ないが1件が大きい」場合は別で、1件の取りこぼしが重いので、5件でも並べる価値があります。

見積ソフトを使っています

そのまま使います。足りないのはたいてい「状態」と「次に見る日」の2列だけです。見積ソフトからCSVを出して、その2列を外に持つ形にできます。考え方はパッケージの外に残る仕事と同じで、中心のデータは元のソフトに置いたままにします。

営業の専任がいません。社長と事務で出しています

その形がいちばん効きます。専任がいない会社ほど、返事待ちが落ちます。朝に画面を開いて「今日見る3件」が出ていれば、電話は10分で終わります。落ちる理由は熱意ではなく、思い出す順番が日によって違うことです。

返事が来ない先に電話するのは、催促しているようで気が引けます

「その後いかがでしょうか」ではなく、「条件を少し変えられるかもしれないのでご連絡しました」のように、こちらから何か持っていく形にすると掛けやすくなります。文面のひな形は一緒に用意しますが、言い回しは御社で直してください。仕組みが出すのは、かける相手の一覧までです。

受注率を出すと、社内で数字の話になりそうです

出す先を選べます。得意先別だけを出して、担当者別は出さない形にできます。担当者別の受注率は、抱えている引合の難易度が違うので、そのままでは比べられません。並べると数字が独り歩きします。

過去の見積も入れたほうがいいですか

要りません。今日から出すぶんだけで始めます。過去を入れようとすると、1件ずつ状態を思い出す作業になり、たいてい途中で止まります。受注率が意味のある数字になるのは3か月ほど先ですが、追いかけ漏れは初日から減ります。

何人まで使えますか

ライトプランは数人での利用を想定しています。見積を出す人が1〜3人ならこの範囲です。誰がどの見積を担当しているかを分けたい、外出先からも見たい、という場合はスタンダードになります(ログインが要るため)。

データは誰が持つのですか

御社のものです。CSVでいつでも書き出せます。お預かりしたデータを、他社の案件や第三者のサービスに使うことはありません。見積金額と失注の理由は取引の内側の話なので、扱いには特に気をつけます。

費用と期間

プラン内容期間金額(税別)
ライト画面1〜2枚、機能1つ。個人〜数人での利用48時間¥98,000
スタンダード画面3〜6枚。データ蓄積・ログイン・通知・外部連携1つ5営業日¥298,000
保守・改修月2件までの改修、不具合対応は無制限月額¥30,000

第1段階(見積台帳、状態と次に見る日、今日見る一覧、印刷とCSV)はライトプランの範囲です。失注理由の集計、得意先別の受注率、見積工数との突き合わせ、複数人での担当分けまで入れるとスタンダードになります。いまお使いの見積書の様式は変えなくて構いません。状態の増減や集計の切り口の変更は、保守の範囲(月2件までの改修)で対応できます。

「いま、返事待ちが何件あるか」を1画面にします

直近1〜2か月に出した見積の件数と、そのうち返事が来ていないおおよその数。それだけで十分です(金額は伏せていて構いません)。画面が何枚になり、ライトとスタンダードのどちらなのかを1枚にしてお返しします。見積が月10件以下で、返事待ちが常に5件を切っているなら、この仕組みは要りません。そのときは、その理由も正直に書きます。相談は無料です。

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