「あの票、返ってきましたか」
廃油を引き取ってもらう。切粉のドラムを出す。使い終わった薬液を持っていってもらう。そのたびに複写の票を書いて、運転手さんに渡し、1枚を手元に残します。しばらくすると、処理が終わったことを知らせる票が郵送で返ってきます。返ってきた票は、同じバインダーに綴じます。ここまでは、どの会社でもきちんと回っています。
先に結論を書きます。紙のマニフェストで足りていないのは「書くこと」ではなく「返ってこなかったことに気づく仕組み」です。交付の控えも、返ってきた票も、同じ束の中に日付順で綴じられています。綴じた時点でどちらも「紙が1枚増えた」だけになり、返ってきていない票だけを集める方法が、束をめくる以外にありません。
そして、めくらなければ分からないことは、たいてい誰もめくりません。
票は揃っているのに、未返送が見えない5つの理由
1. 控えと返送分が、同じ束に混ざって綴じられている
手元に残る控えと、あとから郵送で返ってくる票は、別の紙です。それが日付順の1冊に、来た順で綴じられます。すると束の中で、控えと返送分が交互に並びます。どの控えに、どの返送分が対応しているかは、票の番号を1枚ずつ見比べないと分かりません。
綴じ方を変えて「未返送だけ別の場所に置く」運用にしている会社もあります。これは正しい形です。ただし返ってきたときに差し替える手作業が毎回発生します。差し替えを1回忘れると、その票は未返送のまま棚に残り続けるか、返送済みの束に紛れて消えます。
2. 照合の鍵が、手で書き写す番号になっている
票には番号が印字されています。管理表を作るときは、その番号をExcelに打ち直します。桁数が多く、似た数字が並びます。1文字違えば、返ってきた票と控えは永久に突き合わなくなります。
さらに、打ち直す作業は票を書いたその場では起きません。現場で票を書き、事務所に回ってきてから、まとめて入力されます。回ってくるまでの間は、管理表の上にその票は存在していません。
3. 期限は交付日から数えるのに、交付日が束の中にしかない
返送には期限があります。期限は、交付した日から数えます。つまり交付日が分からなければ、期限も出せません。その交付日は控えに書いてありますが、控えは束の中です。
結果として、期限の管理は「そろそろ返ってきてもいい頃だ」という感覚で行われます。感覚は、毎月たくさん出している廃棄物では当たります。年に数回しか出さない種類では、まず当たりません。
4. 同じ票でも、返ってくる回数が1回とは限らない
中間処理に出した場合、処理が終わった時点と、その先の最終処分が終わった時点で、返ってくるものが分かれます。片方が返ってきた票は、束の中では「返ってきた票」に見えます。もう片方を待っていることは、票の見た目では分かりません。
この「半分だけ返ってきた」状態は、紙を数える限りいちばん見つけにくい形です。未返送が0枚だと思っていた会社で、実際には最終処分の側が何枚も止まっていた、という形で出てきます。
5. 出す人と、綴じる人と、気づくべき人が別々
票を書くのは現場です。綴じるのは事務です。返ってこないことに気づく役の人は、たいてい決まっていません。現場は渡した時点で終わりだと思っていますし、事務は返ってきた票を綴じることが仕事になっています。来なかったものについては、誰の手元にも仕事が発生しません。
来なかったことに気づくには、来るはずだったものの一覧が要ります。それが無いので、気づくのは年に一度、1年分を数え直すときになります。
この5つに共通していること
記録の単位が「1枚の紙」になっていて、「1件の委託」になっていません。1件の委託は、交付して、処理されて、票が戻ってきて、初めて閉じます。紙は閉じたかどうかを持てません。綴じられるのは、起きたことだけです。
だから未返送は、記録の中に「無い行」として存在します。無い行は、どれだけ丁寧にめくっても見つかりません。見つけられるのは、あるはずの行を先に並べてある場合だけです。
本当に重いのは、綴じる作業ではありません
綴じる作業は、時間はかかりますが終わります。重いのは次の2つです。
1つ目は、返ってこないことが、相手側の異常の最初の兆候であることです。処理が止まっている、業者の体制が変わった、そもそも届いていない。どれも、こちらに最初に届く形は「票が返ってこない」です。気づくのが遅れるほど、確認の電話は後ろ倒しになります。そして遅れたぶんは、取り戻せません。
2つ目は、年に一度の集計です。1年分の票を種類ごとに数え、数量を足し、委託先ごとに分けます。バインダーをめくりながら電卓を叩く作業で、数日がかりになる会社もあります。しかもこの作業は、未返送があると途中で止まります。「この票、返ってきていないな」と気づいた時点で、いつ出したどの票かを探し直すことになるからです。
逆に言えば、未返送の一覧が1枚あるだけで、年次の作業は数え直しではなく確認になります。「未返送は3件、いちばん古いのは7月に出したA社向けの廃油です」と、いつでも言える状態になります。この1文が言えるかどうかだけの違いです。
法令の当てはめは、こちらではしません
返送されるまでの日数、票を保存する期間、年次の報告書の提出先と締切、どの廃棄物がどの区分になるか、委託契約に何を書く必要があるか。これらは都道府県・市の産業廃棄物の担当窓口、委託先、行政書士さんの領分です。こちらでは判断しません。この記事でも、具体的な日数や年数は書いていません。
画面の側でできるのは、決まった形を教えていただければ、そのとおりに数えて並べることです。「この区分は交付から何日」と御社が設定すれば、その日数で期限を計算します。中間処理と最終処分で日数が違うなら、別々に設定します。何日にすべきかを、こちらが決めることはしません。
作るもの:3段階に分ける
第1段階:交付を1行入れて、未返送だけを出す
入れるのは1画面です。交付日・票の番号・排出した場所・廃棄物の区分・数量と単位・収集運搬の業者・処分の業者・返送の期限・返送日・状態。区分と業者は選択式にします。ここを自由記述にすると、年次の集計で同じ業者が2つに割れます(2番目の理由がそのまま戻ってきます)。
票の番号は手入力のままで構いません。ただし同じ番号が2回入ったらその場で知らせます。打ち間違いの多くは、入れた直後なら本人が気づけます。
| 交付日 | 票番号 | 排出場所 | 区分 | 数量 | 処分業者 | 返送期限 | 状態 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 7月8日 | …4172 | A工場切削工程 | 廃油 | 200 L | B社 | 10月6日 | 未返送 |
| 8月3日 | …4188 | A工場切削工程 | 汚泥 | 1.2 t | C社 | 11月1日 | 未返送 |
| 8月3日 | …4189 | D倉庫 | 廃プラ | 0.4 t | B社 | 11月1日 | 返送済 |
| 9月12日 | …4203 | A工場洗浄工程 | 廃アルカリ | 60 L | C社 | 12月11日 | 中間のみ |
表の中の名前は記号にしています。動きを見ていただくためのサンプルで、実際の画面には御社の工場・工程・業者の名前がそのまま入ります。
出るのは3つです。未返送の一覧(期限の順。過ぎているものが先頭)、業者ごとの未返送の件数、区分ごとの数量の累計。この3つが出ると、上の4行は「今年は4枚出した」ではなく、「7月の廃油が1件、期限まであとわずか。B社に2件のうち1件が止まっている」と読めます。
印刷すると、そのまま確認の電話をかけながら見られる1枚になり、CSVでも出せます。ここまでが第1段階で、ライトプラン(48時間)の範囲です。
「期限が過ぎたものを先頭に出す」仕組みを、動くデモで見る 士業事務所の期限管理のデモです。扱っているのは申請や届出の期限でマニフェストではありませんが、件ごとに期限を持たせて、残り日数で並べ替え、過ぎたものを上に出すという仕組みは、未返送を追う側とそのまま同じです。1件ずつ入れた予定が、その場で順位の付いた一覧に変わるところを見ていただけます。第2段階:残り日数、中間と最終を分ける、票の画像を付ける
未返送に残り日数を出します。期限を過ぎたものは日数つきで先頭に並びます。区分ごとに日数の設定が違う場合は、区分ごとに持ちます。
中間処理の返送と、最終処分の返送を、別々の欄で持ちます。4番目の理由がここで解けます。片方だけ返ってきた票は、一覧の上で「中間のみ」として残り、最終処分のほうの期限で並び続けます。「返ってきた気がする」で閉じてしまう経路が無くなります。
返ってきた票を撮って付けられるようにします。紙は従来どおり綴じたままで構いません。画像が付いていると、年次の集計のときにバインダーを出してこなくても数字を確かめられます。
年次の集計も、この段階で出します。区分ごと・業者ごと・排出場所ごとの数量と件数を、期間を指定して表にします。行政の様式そのものは作りませんが、転記するときに探し回らなくて済む形にはできます。
第3段階:複数拠点、現場から入れる、業者の台帳と結ぶ
工場や倉庫が複数ある場合は、データの蓄積とログインが要ります。自分の拠点だけ入れる人、全拠点を見る人、返送済みにできる人を分けます。誰がいつ返送済みにしたかの履歴も残します。
現場のスマホから交付を入れられるようにします。票を書くのをやめる必要はありません。票は今までどおり書いて、番号と日付と数量だけをその場で入れる形でも、未返送の一覧は出ます。入力は事務がまとめて代行する形でも動きます。
委託先の台帳と結び付けると、業者ごとの許可の期限と、契約書の期限を同じ画面に並べられます。期限が近い業者に委託が集中していれば、それも一覧から見えます。設備や工程の台帳を別に持っているなら、排出場所をそちらと同じ名前で揃えます(設備の点検と修理の記録)。
ここまで入れるとスタンダード(5営業日)の範囲です。
逆に、期待しないほうがいいこと
- 電子マニフェストに移れるなら、この画面は要りません。電子で出していれば、返送の管理はそちらで済んでいます。この画面が効くのは、紙で出している分がある会社と、紙と電子が混ざっている会社です。混ざっている場合は、紙の側だけを数えます
- 法令の当てはめはしません。返送までの日数、保存の期間、報告の締切、区分の決め方は、担当窓口・委託先・行政書士さんにご確認ください。決まった形を教えていただければ、そのとおりに数える画面にします
- 行政の様式は作りません。年次の報告書などの様式は行政のものです。こちらで作るのは、転記しやすい形の集計までです
- 票の番号は採番しません。番号は票に印字されているものです。画面は入れてもらったものを照合するだけです
- 業者の許可の中身は調べません。期限を並べることはしますが、その許可で御社の廃棄物を出してよいかどうかの判断はしません
- 紙の票を読み取ることはしません。画像を添付することはできますが、画像から番号や数量を取り出す機能は作りません
- 区分をこちらで決めることはしません。御社がいま使っている区分の名前をそのまま選択肢にします
- 業者への催促はしません。画面が出すのは「いつ出した何番が、何日過ぎているか」までです。かけるのは電話1本ですが、それは人の仕事です
よくある質問
バインダーで足りています
足りているかどうかは、1つ試すと分かります。いま未返送の票が何枚あるか、その場で言えるかどうかです。言えるなら足りています。言えない場合、未返送が無いのではなく数えられないだけです。バインダーをやめる必要はありません。紙は今までどおり綴じたまま、交付の1行だけを入れる形でも、未返送の一覧は出ます。
電子マニフェストにすればいいのでは
そのとおりで、全部を電子に移せるなら、そちらのほうが早いです。正直に申し上げて、移れる会社にこの画面は要りません。残るのは、委託先の一部が電子に対応していない場合と、拠点や品目によって紙が残っている場合です。このとき困るのは紙と電子で見る場所が2つに分かれることで、全体の未返送が1枚にならなくなります。画面の側は紙の分だけを数え、電子の分は「電子」と印を付けて件数だけ持つ形にできます。
票は年に20枚ほどしかありません
少ないほうが、むしろ忘れます。毎月何十枚も出していれば、返ってこない束の厚みで気づきます。年に20枚だと、1枚返ってこなくても束の見た目は変わりません。気づくのは翌年の集計のときになります。枚数が少ない会社ほど、入力の手間も小さいので、入れる側の負担はほとんどありません。
業者が返してくれないのですが
画面は催促をしません。できるのは、電話をかける材料を1枚にすることだけです。「何月何日に出した、番号の下4桁が何番の、どの品目が、何日過ぎています」と言える状態で電話をかけるのと、「そちらに出した票、返ってきていないと思うのですが」と言うのとでは、折り返しまでの時間が変わります。そして、同じ業者で何件止まっているかが見えると、個別の電話ではなく一度の話にできます。
Excelで管理表を作っています
管理表があるなら、仕組みとしては足りています。残る手間は2つです。交付のときと返送のときで、同じファイルを2回開くこと。そして未返送の抽出が、毎回フィルタの操作になることです。画面にすると、未返送は開いた瞬間に出ているものになります。いまのExcelをそのまま読み込んで、続きから使う形にできます。列の名前が御社独自でも構いません。
複数の工場から出しています
排出場所を選択式にして、拠点ごとに入れてもらう形になります。第1段階でも場所の欄は持ちますが、工場ごとに入力する人が分かれる場合はログインが要るので、第3段階(スタンダード)の範囲になります。本社でまとめて入力する運用なら、ライトプランのままで動きます。
年次の報告書を作ってもらえますか
様式そのものは作りません。行政の様式は提出先ごとに決まっていて、こちらで作った様式が通る保証ができません。作るのは、その様式に転記するための集計です。区分ごと・業者ごと・期間ごとの件数と数量を出すところまでで、そこから先の記入と提出は御社の側でお願いします。どの数字がどの欄に入るかを教えていただければ、その並びで出すことはできます。
現場が出した票を、事務が知らないことがあります
これは画面だけでは解けない部分があります。できるのは入れる手間をできるだけ小さくすることで、交付の入力を番号・日付・区分・数量の4つだけにすると、スマホで30秒です。残りの欄(業者・期限・場所)は、区分と直前の履歴から埋まるようにします。それでも入らない場合は、票が事務に回ってきた時点で入れる運用のままで構いません。期限は交付日から数えるので、入れるのが数日遅れても一覧の正しさは変わりません。
データは誰が持つのですか
御社専用のURLで、御社のデータだけが入ります。他の案件に混ぜることはありません。委託先の名前や数量が入る記録なので、保存する項目は最初に一緒に決めます。ライトプランは、ブラウザの中に保存してCSVで持ち出す形にもできます。
費用と期間
| プラン | 内容 | 期間 | 金額(税別) |
|---|---|---|---|
| ライト | 画面1〜2枚、機能1つ。個人〜数人での利用 | 48時間 | ¥98,000 |
| スタンダード | 画面3〜6枚。データ蓄積・ログイン・通知・外部連携1つ | 5営業日 | ¥298,000 |
| 保守・改修 | 月2件までの改修、不具合対応は無制限 | 月額 | ¥30,000 |
第1段階(交付を1行で入れる画面、区分と業者の選択式、票番号の重複の検知、返送の期限と状態、未返送の一覧、業者ごと・区分ごとの集計、印刷とCSV)はライトプランの範囲です。残り日数の計算、中間処理と最終処分を分けて持つこと、票の画像の添付、期間を指定した年次の集計、複数拠点でのログインと権限、スマホからの入力、委託先の許可と契約の期限台帳との結び付けまで入れるとスタンダードになります。いまお使いのバインダーとExcelの管理表は、そのままで構いません。区分を足す、業者を増やす、集計の切り口を変えるといった調整は、保守の範囲で対応できます。
「いま未返送が何件か」に、その場で答えられる形にします
年にどのくらいの枚数を出しているか、紙と電子のどちらで出しているか、未返送の票が今あるかどうか。それだけで十分です(社名は伏せていて構いません)。画面が何枚になり、ライトとスタンダードのどちらなのかを1枚にしてお返しします。全部を電子マニフェストで出していて、紙が1枚も無いのであれば、この仕組みは要りません。そのときは、その理由も正直に書きます。相談は無料です。
メールで相談する 入力フォームで相談する今いちばん手間になっている作業をひとつ教えていただければ、その作業に合わせた試作画面を 1 枚、無料でお作りします。
その作業をここに書いて送る(無料の試作画面を頼む) →入力フォーム。会社名・お名前・メール・作業の4項目だけです。メールソフトは要りません。
ボタンを押してもメールが開かないときは
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