内示は900、確定は600でした
月初に客先から内示が届きます。10月は900個。それを見て材料を手配し、外注の枠を押さえ、段取りの順番を組みます。月末に注文書が来ると600個。材料は300個ぶん余り、押さえた外注の枠は空きます。翌月は逆に、内示400に対して確定が700で、今度は材料が間に合いません。担当者が読み違えたわけではありません。内示はそういうものだからです。
先に結論を書きます。内示と確定のズレが痛いのは、ズレるからではありません。ズレたことに気づくのが、材料を手配した後だからです。必要なのは精度の高い予測ではなく、内示が前回からどう動いたかが、届いた日のうちに分かる形です。順番に説明します。
内示と注文は、別のものです
どちらも客先から届く数字なので同じ引き出しに入れがちですが、性質が違います。
| 内示(フォーキャスト) | 確定注文 | |
|---|---|---|
| 中身 | 3か月先までの見込み数量 | 納期と数量の約束 |
| 単位 | 品番 × 納入月 | 品番 × 納期日 |
| 変わるか | 毎回変わる前提 | 変わったら変更注文が出る |
| 番号 | 付かないことが多い | 注文書番号が付く |
| 使い道 | 材料手配・外注枠・人の張り付け | 製造指示・納品・請求 |
厄介なのは、お金を使う判断は内示で下していることです。確定注文が来てから材料を頼んだのでは納期に間に合わないので、内示を見て手配します。つまり内示は「参考値」と呼ばれながら、実際には発注を起こす根拠になっている数字です。
取引基本契約に「内示に基づいて手配した材料は補償する」という趣旨の条項が入っていることもあります。ただし、いざ余った材料を持ち込むときに「いつの内示の、どの数量に基づいて、何個手配したか」を出せるかどうかで話の進み方がまったく違います。条項があっても、根拠が口頭だと相談になりません。
Excelで管理していると、何が見えなくなるか
内示の管理表は、たいていきちんと作られています。問題は表の作りではなく、内示が上書きされることです。
- 最新の内示しか残らない。届いた内示を同じシートに貼り替えるので、前回いくつだったかが消えます。消えると「増えた/減った」が言えません
- 客先ごとに様式が違う。縦に月が並ぶ表、横に月が並ぶ表、PDF、ポータルからのCSV。並べて比べるには毎回作り直しが要ります
- 粒度が違う。内示は月、注文は日。単純に引き算できないので、突き合わせは頭の中で行われます
- 手配した数量が別のところにある。材料の発注書は購買のフォルダ、外注は別の表。内示・確定・手配の3つが1画面に並びません
- 見ている人が一人。生産管理の担当の頭の中で全部つながっています。休んだ日に内示が届くと、止まります
この5つは整理の問題ではありません。最新の数字だけを持つ表を作る限り、必ずこうなります。内示は「今の値」ではなく「変化」に意味がある数字だからです。
正しい持ち方は、内示を上書きせずに足していくことです
1行が「ある日に受け取った、ある品番の、ある納入月の数量」です。持つ欄は 受信日・客先・品番・納入月・数量・種別(内示/確定)だけ。同じ品番の同じ納入月に、何行ぶら下がっても構いません。これだけで、10月分の履歴が
「7月内示 800 → 8月内示 900 → 9月内示 600 → 確定 620」
と1列に並びます。上書きをやめるだけで、増減が引き算で出るようになります。Excelでも作れますが、届くたびに手で追記するのが続きません。ツールにする値打ちは、受け取ったファイルを流し込む操作が、そのまま1行を残すところにあります。
画面に出すべき数字は3つです
1. 前回の内示からの増減が大きい順
全品番を見る必要はありません。動いた品番だけが仕事です。50品番のうち動くのは毎月5〜10品番で、そこに材料の余りと欠品が集中します。増減の絶対値ではなく手配済み数量に対する割合で並べると、金額の大きいものが上に来ます。
2. 客先ごと・品番ごとの「内示に対する確定の実績率」
これが貯まると癖が見えます。A社のこの品番は、3か月前の内示の7割で確定することが多い、という具合です。癖が数字で出れば、内示どおり手配するか、掛け目をかけるかを、勘ではなく過去の実績で決められます。1年ぶん貯まれば十分に使えます。当たる予測を作る話ではありません。外れ方に癖があることを見えるようにする話です。
3. 手配済み数量と、最新の見込みの差
ここが本丸です。材料を何個ぶん発注したかを同じ画面に持つと、内示が下がった瞬間に「この品番は手配300個に対して見込み180個、120個ぶん余る」と出ます。余りが分かるのが月末の棚卸しではなく内示が届いた日になれば、外注への投入を止める、次月ぶんに回す、客先に相談する、といった手が打てます。気づくのが早いことだけが、ここで取れる利益です。
「手配した数」と「必要な数」の差を並べて、足りない/余るを先に出す画面を見る(在庫と発注点のデモ) 在庫の残と発注点を比べて、足りないものを上に並べ、発注リストを印刷・CSV出力するところまで動きます。内示の形にする場合は、比べる相手が「発注点」ではなく「最新の内示数量」になり、履歴の列が1本増えます。今いちばん手間になっている作業をひとつ教えていただければ、その作業に合わせた試作画面を 1 枚、無料でお作りします。「読み込み」をどこまでやるか
内示のツール化でつまずくのはここです。客先が5社あれば様式は5通りあります。全部を自動で読もうとすると、作るのに時間がかかり、様式が変わるたびに壊れます。
| 届き方 | 現実的な扱い |
|---|---|
| 客先ポータルからCSV | そのまま取り込む。列の対応を1回決めれば以後は自動 |
| Excelの添付 | 同じく取り込む。様式が変わったら対応を直す(保守の範囲) |
| PDF・FAX・紙 | 手入力でよい |
PDFを読ませたくなりますが、1客先あたり月1回、10品番を打ち込んで10分です。読み取りの精度で悩むより、打ち込む画面を使いやすくしたほうが確実に回ります。大事なのは入力の手間ではなく、入った後に履歴として残ることです。手入力を含めて全部が1本の表に乗れば、目的は果たせます。
品番の表記ゆれ
客先の品番と自社の品番が違うのは普通です。ハイフンの有無、枝番の付け方、旧図番のままの客先。対応表を1枚持って、取り込むときに自社品番に寄せます。知らない品番が来たら、取り込みを止めずに「未対応」として一覧に出し、後で紐づける形にします。止めると、担当がその日のうちに片づけられません。
3段階に分けます
第1段階:内示を上書きせずに貯める
受信日・客先・品番・納入月・数量・種別の6欄だけ。CSVとExcelの取り込みと、手入力の画面を作ります。この段階でできるのは「前回からいくつ動いたか」を出すことです。過去ぶんは遡らなくて構いません。3か月貯まれば増減は見えます。ライトプランの範囲です。
第2段階:手配済みの数量を並べる
材料の発注と外注の投入を同じ品番・納入月にぶら下げます。これで「手配300/見込み180/差120」が出ます。購買システムがあるならCSVで受け取れば済み、無ければこの画面で発注を起こします。差が出た品番だけを一覧にして、朝いちばんに見る形にします。
第3段階:内示と確定の実績率を貯める
確定注文が入るたびに、対応する内示との比を自動で記録します。客先別・品番別に1年ぶん貯まると掛け目が出ます。ここは最後で構いません。第1段階の履歴が無いと比べる相手が無いので、先に第3段階から入ることはできません。
第1段階だけでも、内示が届いた日に「動いた品番」が出るようになります。これが一番効く変化です。
逆に、期待しないほうがいいこと
- 需要予測はしません。客先の内示より当たる数字を作る仕組みではありません。やるのは、届いた内示の履歴と、そこからの手配の差を見えるようにすることだけです
- 客先の内示の精度は上がりません。上がるのは、ズレたときに相談できる度合いです。「3か月前の内示900で手配しました」と数字で出せると、余った材料の話が事実の確認から始まります
- 生産計画は立てません。設備の能力や工程の順序を考えて日程を組むのは別の仕組みの話です。ここで扱うのは数量だけです
- 在庫を自動で減らす仕組みにはなりません。実在庫は現場が数えたものが正です。突き合わせる相手を作るところまでが役目です
よくある質問
内示が来ない客先もあります
あります。その場合は確定注文だけを同じ表に貯めます。内示が無い客先は、確定注文の履歴そのものが見込みの材料になります。去年の同じ月に何個出たかが並ぶだけでも、段取りの目安になります。
客先の様式が年度で変わります
変わります。列の対応を直すだけなので、保守の範囲(月2件までの改修)で対応できます。様式が変わったことに気づけるように、取り込みで列が合わなかったら止めて知らせる形にします。黙って空欄で取り込むのがいちばん危ないので、そこは止める側に倒します。
生産管理ソフトに内示の機能があります
あるなら、そちらに入れて構いません。足りないのはたいてい「前回の内示との差」と「手配済みとの差」の2つです。その2つだけを外に作り、品番と数量はCSVで受け取る形にできます。考え方はパッケージの外に残る仕事と同じで、中心のデータはソフトに置いたままにします。
材料の手配数量が、内示どおりではありません
そのほうが普通です。歩留まりを見て多めに取る、材料の定尺で切り上がる、ロットの単位がある。だから「内示 − 手配」ではなく、手配した実数をそのまま持ちます。切り上がったぶんを含めて、いま何個ぶん抱えているかが分かればいいので、計算で出そうとしないほうが正確です。
誰が入力するのですか
内示を受け取っている人がそのまま入れる形が続きます。取り込みなら1客先1分、手入力でも10分です。現場に新しい入力を増やしません。現場に増やしてよい入力は1日ひとつまでだと考えたほうがよく、これは日報の転記の記事でも書いたとおりです。
何人まで使えますか
内示を受け取って手配する人が数人で、第1段階(履歴と増減)だけならライトプランの範囲です。購買や外注の数量を突き合わせ、複数人で同時に見て記録を貯める第2段階・第3段階はスタンダードになります。人数で追加の費用はかかりません。
データは誰が持つのですか
御社のものです。CSVでいつでも書き出せます。お預かりしたデータを、他社の案件や第三者のサービスに使うことはありません。内示の数量は客先の生産計画そのものなので、扱いには特に気をつけます。
費用と期間
| プラン | 内容 | 期間 | 金額(税別) |
|---|---|---|---|
| ライト | 画面1〜2枚、機能1つ。個人〜数人での利用 | 48時間 | ¥98,000 |
| スタンダード | 画面3〜6枚。データ蓄積・ログイン・通知・外部連携1つ | 5営業日 | ¥298,000 |
| 保守・改修 | 月2件までの改修、不具合対応は無制限 | 月額 | ¥30,000 |
第1段階(内示の履歴、前回との増減、CSV・Excelの取り込み、書き出し)はライトプランの範囲です。手配済み数量との突き合わせ、客先別の実績率、複数人での利用まで入れる場合はスタンダードになります。お使いの生産管理ソフトはそのままで構いません。客先の様式の追加や変更は保守の範囲(月2件までの改修)で対応できます。
内示が届いた日に、動いた品番が分かる状態にします
直近で届いた内示のファイルを1つ(数量は伏せていて構いません)と、よく動く品番をいくつか。それだけで十分です。内示をどう持てば増減が出るのか、画面が何枚になり、ライトとスタンダードのどちらなのかを1枚にしてお返しします。内示がほとんど動かない取引で、確定注文だけで回っているのなら、この仕組みは効きません。そのときは、その理由も正直に書きます。相談は無料です。
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