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「合っているはずなので、払いました」

2026年10月4日 / 48時間ツール工房 / 仕入と外注の請求書を、注文と納品に突き合わせる

月初。仕入先と外注先から請求書が届きます。封書とFAXとPDFが混ざって、20通か、50通か。支払日は決まっています。経理の人が金額を足し、振込のデータを作り、社長が判子を押す。ここまでは、どの会社でもきちんと回っています。

先に結論を書きます。足りていないのは「足し算」ではなく「突き合わせる相手の行」です。請求書の金額が正しいかどうかを確かめるには、頼んだときの単価と、実際に納まった数が、請求書と同じ細かさで手元にある必要があります。ところがその2つは、たいてい見積書のファイルと現場の記憶に分かれています。

だから確認は、合っているかを見る作業ではなく、合っていそうかを見る作業になります。そして合っていそうなものは、通ります。

請求書は届いているのに、合っているか確かめられない5つの理由

1. 頼んだ金額が、どこにも行として残っていない

電話で「あれ、20本お願いします」。単価は前回と同じはずです。注文書を出している会社でも、控えはファイルに綴じられるだけで、金額の一覧にはなりません。請求書が届いたとき、比べる相手を探すには、見積書のフォルダを開くか、前回の請求書を引っ張り出すことになります。

探すのに時間がかかるものは、探されません。比べなかった請求書と、比べて合っていた請求書は、通ったあとの見た目が同じです。

2. 1枚の請求書と、1件の注文が、一対一になっていない

分けて納まれば請求も分かれます。月締めなら何件かが1枚にまとまります。すると請求書の1行がどの注文のどの納品に当たるかは、品名と数量から人が推測することになります。

この推測は、合計が合っていれば止まります。合計が合っていて、中の内訳が入れ替わっている形は、まず気づけません。品番ごとの単価が違う会社では、これがそのまま金額の差になります。

3. 外注は「出した数」「戻った数」「請求された数」の三つがある

熱処理に100個出して、98個戻り、請求は100個。2個はどこへ行ったのか。向こうで不良になったのか、こちらの数え間違いか、次の箱に混ざって戻ってくるのか。支給材を出している場合は、材料費の差引も加わります。

この三つが並んで出る画面が無いので、確かめる方法は現場に聞くことになります。現場は、先月出した箱の数を覚えていません。覚えているのは「だいたい合っていた」ということだけです。

4. 単価は改定されるのに、請求は改定の前後が1枚に混ざる

ある月から単価が上がります。その知らせは、たいてい紙1枚かメール1通で来て、見積書のフォルダには反映されません。前の月に出した注文が次の月に納まれば、どちらの単価で請求されるかは請求書を見るまで分かりません。

そして請求書は1枚で来ます。改定前の行と改定後の行が同じ紙の上に並んでいても、紙の上では区別が付きません。売る側で同じことが起きる話は得意先別の単価を適用開始日つきで持つに書きましたが、買う側は相手の改定を自分で持っていないので、こちらのほうが気づきにくい形になります。

5. 頼んだ人・受け取った人・払う人が別々

頼むのは現場、受け取るのも現場、払うのは事務です。事務の手元にあるのは請求書だけです。「これ、合っていますか」と現場に回すと、たいてい「合っていると思います」と返ってきます。

これは手を抜いているのではありません。現場も、比べる相手を持っていないからです。頼んだ単価の一覧が無く、出した数の記録も箱に書いた鉛筆の数字だけなら、現場にできるのは「おかしい感じはしない」と答えることまでです。

この5つに共通していること

記録の単位が「1枚の請求書」になっていて、「1件の注文」になっていません。1件の注文は、頼んで、納まって、請求が来て、払って、初めて閉じます。請求書は、閉じたかどうかを持てません。持っているのは、相手が出してきた金額だけです。

だから差額は、記録の中に「無い行」として存在します。請求が来ていない納品も、頼んだ単価と違う請求も、どちらもあるはずの行が無いという形です。無い行は、請求書を何枚めくっても見つかりません。見つけられるのは、あるはずの行を先に並べてある場合だけです。

本当に重いのは、電卓を叩く作業ではありません

足し算は、時間はかかりますが終わります。重いのは次の2つです。

1つ目は、払い過ぎが、たいてい戻ってこないことです。相手も同じく比べる相手を持っていないので、間違いは相手にも見えていません。こちらが気づかなければ、誰も気づきません。そして気づかれなかった単価は、翌月も同じ金額で来ます。1回の差額で終わらず、そのまま続く金額になります。

2つ目は、確認が支払日の直前に集中することです。請求書は月初に届きますが、確認が始まるのは振込のデータを作る直前です。そこで1件でも分からないものが出ると、現場と仕入先に電話をかけながら、締めの作業を止めることになります。売る側の締めも同じ時期に来ます(締めと請求を、納品したその日の1行から出す)。月末に2つの締めが重なって、片方が止まる形です。

逆に言えば、注文と納品が行で残っていれば、確認は差があるものだけを見る作業になります。「今月届いた42通のうち、注文と合わないのは3通。いちばん大きいのはB社の熱処理で、数量が2個多い」と、いつでも言える状態になります。この1文が言えるかどうかだけの違いです。

税と会計の当てはめは、こちらではしません

消費税の端数の扱い、請求書に何が書かれているべきか、勘定科目の割り振り、どの支払がいつの費用になるか。これらは税理士さん・会計事務所・会計ソフトの領分です。こちらでは判断しません。この記事でも、税率や制度の条件は書いていません。

画面の側でできるのは、決まった形を教えていただければ、そのとおりに突き合わせて並べることです。「この仕入先は数量の端数を切り捨てる」と御社が設定すれば、その規則で差を出します。会計ソフトに渡すCSVも、列の並びを教えていただければ合わせます。何が正しい処理なのかを、こちらが決めることはしません。

作るもの:3段階に分ける

第1段階:注文を1行入れて、納品と請求に突き合わせる

入れるのは1画面です。発注日・注文番号・仕入先・品目・数量・単価・納品日・納品数・請求日・請求額。仕入先と品目は選択式にします。ここを自由記述にすると、同じ業者が2つに割れて、仕入先ごとの集計が合わなくなります(1番目の理由がそのまま戻ってきます)。

単価は前回の注文から引いて初期値に入れます。前回と違う金額を入れたときは、その場で「前回は○円でした」と出します。改定の知らせを受けた日を入れておけば、どちらの単価で頼んだのかが、あとから行として残ります。

発注日注文番号仕入先品目注文納品請求差
7月3日…218B社熱処理品番C-12100個 × 180円98個18,000円数量 +2個
7月8日…221D社丸棒φ3020本 × 3,400円20本68,000円一致
7月15日…225B社熱処理品番E-4060個 × 180円60個—請求待ち
7月22日…231F社メッキ品番C-12200個 × 95円200個21,000円金額 +2,000円

表の中の相手先と品番は記号にしています。動きを見ていただくためのサンプルで、実際の画面には御社の仕入先・外注先と品番がそのまま入ります。

出るのは3つです。差があるものだけの一覧(金額の大きい順)、未請求の一覧(納まっているのに請求が来ていないもの)、仕入先ごとの今月の支払予定額。この3つが出ると、上の4行は「今月は4件買った」ではなく、「B社の熱処理が2個多い。F社のメッキが2,000円多い。7月15日の分はまだ請求が来ていない」と読めます。

請求が来ていないことも、差です。来ていない分は、翌月に2か月分でまとまって来ます。そのとき突き合わせる相手は、2か月前の注文です。未請求の側を先に並べておくと、この後戻りが起きません。

印刷すると、そのまま電話をかけながら見られる1枚になり、CSVでも出せます。ここまでが第1段階で、ライトプラン(48時間)の範囲です。

「1件の注文に単価を持たせて、金額が自動で出る」仕組みを、動くデモで見る 卸の受注入力のデモです。扱っているのは請求を出す側で、仕入の照合そのものではありませんが、1件に品目と単価を持たせ、数量を入れると金額が出て、それが一覧と合計に積み上がるという仕組みは、買う側とそのまま同じです。1件ずつ入れた明細が、その場で合計の付いた1枚に変わるところを見ていただけます。

第2段階:分納とまとめ請求、単価の適用日、差の理由、支払予定表

1件の注文に、納品を何回でも足せるようにします。請求も、複数の行を1件の注文に結べるようにします。2番目の理由がここで解けます。まとめ請求の1枚を開くと、どの注文の分が何行入っているかが並び、合計が合っていて内訳が入れ替わっている形も差として出ます。

単価に適用開始日を持たせます。注文の日で引くのか、納品の日で引くのかは、御社が仕入先ごとに決める形にします。改定の連絡が遅れて届いた場合も、適用開始日を入れ直せば過去の行の差が出直します。

差があったものには理由を残します。不良の返し分、支給材の差引、改定の連絡漏れ、こちらの数え間違い。同じ理由が同じ仕入先で何回出ているかが並ぶと、翌月に話をするときの材料になります。1件ずつ電話をかけるのではなく、一度の話にできます。

支払予定表を支払日ごとに出します。締め日と支払の条件は仕入先ごとに設定します。印刷すれば、そのまま承認に回せる1枚になります。

第3段階:複数拠点、現場から発注の依頼、会計ソフトへの受け渡し

工場や拠点が複数ある場合は、データの蓄積とログインが要ります。発注を入れる人、納品を入れる人、請求を照合する人、支払を承認する人を分けます。誰がいつ照合済みにしたかの履歴も残します。

現場のスマホから発注の依頼を出せるようにします。注文書をFAXで出すのをやめる必要はありません。今までどおりFAXで出して、頼んだ内容の1行だけをその場で入れる形でも、請求の照合は揃います。入力は事務がまとめて代行する形でも動きます。

会計ソフトに入れる形でCSVを出します。列の並びは御社のソフトに合わせます。外注の工程台帳を別に持っているなら、注文番号をそちらと同じ番号で揃えます(外注工程の出し入れを1画面にする)。出した数と戻った数を工程側で持っているなら、3番目の理由はそこと結ぶだけで解けます。

ここまで入れるとスタンダード(5営業日)の範囲です。

逆に、期待しないほうがいいこと

よくある質問

請求書は、だいたい合っています

合っているかどうかは、1つ試すと分かります。先月届いた請求書のうち、注文の単価と数量に突き合わせたのが何通かです。全部突き合わせているなら足りています。「おかしいものは無かった」は、突き合わせたこととは違います。差が無いのではなく、差を出す相手が手元に無いだけ、という場合がほとんどです。

会計ソフトに入れています

会計ソフトは払ったあとを記録する道具で、払う前に合っているかを見る作りにはなっていません。仕入先ごとの残高は出ますが、その金額が注文の単価と合っているかは比べられません(注文の単価が入っていないからです)。この画面は会計ソフトの手前に入ります。入れ替える必要はありません。パッケージの外に残る仕事の話は販売管理ソフトを入れたのに、Excelが減らないに書いています。

注文書を出していません。電話とFAXです

注文書を出す運用に変える必要はありません。入れるのは注文書ではなく、頼んだ内容の1行(日付・相手・品目・数量・単価)です。単価は前回から初期値が入るので、実際に打つのは数量だけのことが多く、電話を切った直後にスマホで30秒です。その場で入らない場合は、FAXの控えが事務に回った時点で入れる運用のままで構いません。

仕入先は10社ほどです

社数ではなく、品目の数と、単価の変わり方で決まります。10社でも、品番ごとに単価が違って改定が入るなら差は出ます。逆に、毎月同じものを同じ単価で買っているだけなら、この画面は要りません。そのときは、そう申し上げます。

外注の支給材の差引が複雑です

差引の規則を教えていただければ、そのとおりに計算して差に出します。規則が仕入先ごとに違っても、仕入先ごとに持てます。ただし毎回その場で相談して決める形のものは、画面では自動になりません。できるのは、決めた金額と理由を行として残し、次に同じ話が出たときに引けるようにするところまでです。

Excelで買掛の管理表を作っています

管理表があるなら、仕組みとしては足りています。残る手間は2つです。注文のときと納品のときと請求のときで、同じファイルを3回開くこと。そして差の抽出が、毎回フィルタの操作になることです。画面にすると、差があるものと未請求は開いた瞬間に出ているものになります。いまのExcelをそのまま読み込んで、続きから使う形にできます。列の名前が御社独自でも構いません。

分納と、まとめ請求が混ざります

第2段階の範囲です。1件の注文に納品を何回でも、請求も何行でも結べる形にします。第1段階(ライトプラン)でも、1件の注文に1回の納品と1枚の請求が対応する形なら動きます。どちらが多いかは、先月の請求書を数えていただければ分かります。

支払の承認を社長が見ています

支払予定表を印刷して回す形でも、画面の上で承認する形でもできます。印刷して回すだけなら第1段階(ライトプラン)で足ります。画面で承認して履歴を残す場合はログインが要るので、第3段階(スタンダード)になります。

データは誰が持つのですか

御社専用のURLで、御社のデータだけが入ります。他の案件に混ぜることはありません。仕入先の名前と単価が入る記録なので、保存する項目は最初に一緒に決めます。ライトプランは、ブラウザの中に保存してCSVで持ち出す形にもできます。

費用と期間

プラン内容期間金額(税別)
ライト画面1〜2枚、機能1つ。個人〜数人での利用48時間¥98,000
スタンダード画面3〜6枚。データ蓄積・ログイン・通知・外部連携1つ5営業日¥298,000
保守・改修月2件までの改修、不具合対応は無制限月額¥30,000

第1段階(注文を1行で入れる画面、仕入先と品目の選択式、前回単価の初期値と差の表示、納品数と請求額の入力、差があるものの一覧、未請求の一覧、仕入先ごとの支払予定額、印刷とCSV)はライトプランの範囲です。1件の注文への分納とまとめ請求の結び付け、単価の適用開始日、差の理由の記録、支払条件ごとの支払予定表、複数拠点でのログインと権限、スマホからの発注依頼、会計ソフトへ渡すCSV、外注工程の台帳との結び付けまで入れるとスタンダードになります。いまお使いのExcelの管理表と、発注書の様式は、そのままで構いません。仕入先を足す、品目を増やす、差の出し方を変えるといった調整は、保守の範囲で対応できます。

「今月の請求で、注文と合わないものはどれか」に、その場で答えられる形にします

月に何通くらい請求書が届くか、仕入と外注のどちらが多いか、頼んだ単価をいまどこに残しているか。それだけで十分です(社名は伏せていて構いません)。画面が何枚になり、ライトとスタンダードのどちらなのかを1枚にしてお返しします。毎月同じものを同じ単価で買っているだけで、差が出る余地が無いのであれば、この仕組みは要りません。そのときは、その理由も正直に書きます。相談は無料です。

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