「同じ数字を、4枚に書き写しています」
夕方4時。今日の出荷は5件です。得意先Aは納品書が3枚複写で、現品票は客先指定の様式。得意先Bは納品書と受領書。得意先Cは宅配便なので送り状だけ。打つ内容は、どれも「いつ・どこへ・どの品番を・何個」の4つです。それを、Excelのファイルを開き直して4回打ちます。5件なら20回。途中で「1個減らして」の電話が入り、1か所だけ直し忘れます。翌朝、客先から「現品票の数が合っていません」と電話が来ます。
先に結論を書きます。出荷の書類が何枚あっても、打つのは1回で足ります。4回打っているのは様式が4つあるからではなく、「出荷した」という出来事が、どこにも1行として記録されていないからです。いまは納品書のExcelが記録を兼ねています。記録が書類の中にあるので、現品票を作るときは納品書から目で読んで打ち直すしかありません。先に1行を作り、そこから4枚を刷る。順番を入れ替えるだけで、20回が5回になります。順番に説明します。
同じことを4回打つことになる3つの理由
1. 様式ごとにファイルが分かれている
客先指定の納品書、社内の現品票、受領書、運送会社の送り状。どれも「1つのファイルに1つの様式」で作られています。Excelで様式を作ると、罫線と文字の位置がシートに焼き付くので、1枚のシートに2つの様式は載りません。だからファイルが増えます。そしてファイルが分かれた瞬間に、同じ数字が2か所に書かれます。直すときも2か所です。片方だけ直しても、その場では誰も気づきません。気づくのは、受け取った相手です。
2. 「出荷した」という記録が、書類の外に無い
出荷したかどうかを確かめるとき、どこを見ますか。たいてい納品書の控えの束か、納品書Excelの行です。つまり記録は、書類を作った副産物になっています。副産物なので、書類を作らなかった出荷は記録に残りません。先方の引き取り便が伝票を持ってきた回、急ぎで手書きした回、サンプルを1個だけ送った回。これらは後から消えます。月末に納入残が合わない原因の多くがここです(分納の納入残の記事)。
3. 現品票の様式が客先ごとに違い、位置合わせが人に付いている
現品票(荷札・識別票)は、客先ごとに枠の位置も項目の呼び名も違います。「この客先のはB列の幅を変えないと枠から出る」という知識が、作った人の中にだけあります。その人が休むと、出荷が止まるか手書きになります。これは様式が複雑だからではなく、様式と中身が同じファイルに入っているからです。中身を打つ人が、毎回様式のことも気にしなければならない構造になっています。
この3つに共通していること
どれも「Excelが悪い」という話ではありません。Excelは、紙の様式を写すのがうまい道具です。うますぎるので、様式のほうが主になります。すると中身(いつ・どこへ・何を・何個)は、どの様式にも属していないのに、置き場所が無くなります。要るのは、様式より先に中身を置く場所です。中身が1か所にあれば、様式はいくつあっても構いません。10個でも、1回打てば10枚出ます。
直す場所は、書類ではありません
やりたいのは帳票作成ソフトを入れることではありません。様式をきれいにしても、打つ回数は1回も減りません。減るのは、出荷を1行にしたときだけです。
出荷の1行に要るのは、これだけです。
- 出荷日
- 得意先と届け先(同じでない場合があります。本社に請求、工場に納品)
- 客先の注文番号(先方が検収で使う番号。これが無いと突き合わせができません)
- 品番・品名・数量・単位
- 便(自社便・引き取り・宅配・路線)
この1行があると、納品書・現品票・受領書・送り状はすべてこの1行の並べ替えになります。納品書は金額を足し、現品票は品番と数量を大きく出し、受領書は署名欄を足し、送り状は届け先と個数だけを使います。4枚の違いは「どの列を使って、どこに置くか」だけで、中身は1つです。
作るもの:3段階に分ける
第1段階:出荷の1行を作り、そこから刷る
画面は2枚です。出荷を入れる画面と、今日の出荷の一覧。入れるときは得意先を選び、品番を選び、数を打つだけ。得意先を選んだ時点で、届け先・便・使う様式・締め日は自動で入ります。一覧の行から「納品書」「現品票」「受領書」を押すと、その様式の印刷画面が開きます。
ここで大事なのは、印刷をブラウザの印刷で済ませることです。専用の帳票エンジンは要りません。A4の納品書も、A5やラベルサイズの現品票も、印刷用のCSSで様式を作れます。同じ1行から、様式だけを切り替えて出します。
第1段階だけで、打つ回数は出荷の件数と同じになります。5件なら5回です。第2段階に進まなくても、「1か所だけ直し忘れる」は無くなります。直す場所が1つしか無いからです。
出荷を押すと納品書番号が付く動きを試す 卸の受注・納品・請求として作ったデモです。現品票と送り状は入っていませんが、受注を1件入れて「出荷」を押すとその場で納品書番号が付き、印刷の画面になるところは同じ作りです。得意先を選ぶと単価と締め日が自動で入るのも見られます。ブラウザだけで動き、入力したデータは端末の中だけに残ります。第2段階:客先ごとの様式を、様式の側だけで持つ
得意先ごとに「使う様式」を登録します。様式に持たせるのは、項目の置き場所と、項目名の対応だけです。「この客先では品番を『図番』と呼ぶ」「数量の右に単位を出さない」「注文番号を右上に置く」「社印は刷り込みにする」。これを様式の側に持たせると、新しい客先が増えたときに足すのは様式1つで、入力画面は何も変わりません。
位置合わせも、ここで人から外れます。枠の位置が様式に書かれているので、誰が出しても同じ位置に出ます。客先が様式を変えてきたら、様式を1つ直します。変えた日から新しい様式で出す、という持ち方にすれば、過去に出した納品書を再印刷したときも当時の様式で出ます。
第3段階:前後とつなぐ
出荷の1行が溜まると、前後が自動でつながります。
- 注文に対する納入残(注文数 − 出荷の累計)。これは分納の納入残そのものです
- 締め日ごとの請求(出荷の行を締め日で束ねるだけ)。締めと請求の記事で書いた形になります
- どのロットの材料で作ったか(現品票にロット番号を入れる指定がある場合)。材質証明書と現品を結ぶ記事とつながります
この3つは、第1段階で出荷を1行にしていれば、あとから足せます。逆に、1行になっていないと、どれも作れません。請求書を先に作ろうとして止まる会社が多いのは、束ねる元の行が無いからです。
逆に、期待しないほうがいいこと
- 運送会社の送り状は、たいてい置き換わりません。宅配便の送り状は各社の発行ソフトで作る決まりになっていて、送り状番号もそちらで採番されます。現実的なのは、出荷の行をそのソフトが読めるCSVで出すところまでです。打ち直しは無くなりますが、送り状そのものは向こうのソフトで刷ります
- 客先のWeb-EDI(購買ポータル)への入力は残ります。客先のサイトに納入実績を入れる決まりがある場合、そこは相手のシステムです。出荷の一覧を画面に並べて、それを見ながら入れるところまでが現実的な範囲です。先方のIDをお預かりして自動で入れることはしません
- 客先支給の複写伝票は、そのまま残る場合があります。あらかじめ枠が刷られた3枚複写の連続用紙にドットプリンタで打つ運用は、ブラウザの印刷では位置が合いません。この場合はその1枚だけ従来のままにして、残りを1行から出します。全部を置き換えようとして止まるより、3枚ぶん減らすほうが早く効きます
- 検収のずれは無くなりません。こちらが出荷した数と、客先が検収した数は、月末に食い違うことがあります。出せるのは「こちらの出荷記録」までで、先方の検収数と合わせるのは人の突き合わせです。ただし記録が1か所にあると、どの出荷が落ちているかはすぐ出ます
- 在庫の引き落としは、別の話として考えてください。出荷で在庫を減らす設計にすると、在庫の初期値をそろえる作業が最初に必要になります。第1段階では在庫に触らず、出荷の記録だけを作るほうが早く動きます(在庫のほうは材料発注の記事に書きました)
よくある質問
客先指定の伝票用紙に印刷しています。様式は作り直せますか
用紙の種類で変わります。白紙に枠も文字もすべて刷る形なら、たいていそのまま作れます。すでに枠が刷られた用紙に文字だけ入れる場合は、位置の追い込みに半日ほど見てください。レーザーやインクジェットなら合わせられます。合わないのはドットプリンタと連続用紙で、これは上に書いたとおり、その1枚だけ従来のまま残すほうが早いです。
現品票にバーコードを入れる指定があります
入れられます。品番や注文番号のバーコード(Code39・Code128)やQRは、印刷画面の中で作れます。指定として書かれているのは、たいてい「どの規格で、どの桁を、どの位置に」の3つだけなので、様式の側に持たせます。ただし客先の読み取り機で実際に読めるかは、1枚刷って試すまで分かりません。ここは納品前に、御社から先方へ1枚出して確かめていただく形にしています。
送り状は運送会社のソフトで作っています
そのままで構いません。出荷の行から、そのソフトが取り込めるCSVを出します。多くの発行ソフトは送り状データの取り込みに対応していて、届け先・個数・品名の列を指定できます。目的は打ち直しを無くすことで、送り状を自分で刷ることではありません。
得意先ごとに納品書番号の付け方が違います
付け方を得意先ごとに持てます。「年月+連番」「注文番号+枝番」「通し番号だけ」のどれでも。注意が要るのは、途中で採番方式を変える場合です。過去の番号と重ならないように、切り替えた日から新しい方式にします。過去の番号を振り直すことはしません。客先の検収記録に残っている番号と合わなくなるからです。
単価を載せない納品書を出す客先があります
様式の側で決めます。同じ出荷の行から、単価のある納品書と、数量だけの納品書を出し分けます。現品票も同じです。中身を分けるのではなく、出す列を分けます。ここを「客先ごとに別のファイル」で持つと、単価を直したときに片方が古くなります。単価を1か所に置く理由は得意先別の単価の記事に書きました。
分納のときに「あと何個」は出ますか
出ます。ただし注文の側に注文数が入っていることが前提です。注文数を入れずに出荷だけ記録すると、出荷の累計は出ますが残数は出ません。注文の登録を含めると、ライトの範囲を少し超えることがあります。詳しくは分納の納入残の記事に書きました。
材料のロット番号を現品票に入れる指定があります
入れられます。出荷の1行に「使った材料のロット」を持たせる形になります。1回の出荷で複数のロットが混ざる場合は、行を分けるか、ロットを複数持たせます。どちらにするかは、客先の指定(1枚に1ロットか、併記可か)で決まります。構造はミルシートの記事と同じです。
誰が入力するのですか
出荷を作る人です。事務方が後からまとめて入れる形にすると、現品票が間に合いません。現品票は箱に付けるものなので、梱包しているその場で刷れる必要があります。出荷場にPCかタブレットを1台とプリンタを置いて、そこから入れて刷る形が多いです。
いまのExcelのデータは移せますか
移せます。納品書のExcelを1つ(得意先名と単価は伏せていて構いません)お送りいただければ、それを読み込む形で作ります。過去ぶんを全部入れる必要はありません。納入残を出したい注文と、得意先・品番の一覧だけあれば動き始めます。
データは誰が持つのですか
御社のものです。CSVでいつでも書き出せます。お預かりしたデータを、他社の案件や第三者のサービスに使うことはありません。
費用と期間
| プラン | 内容 | 期間 | 金額(税別) |
|---|---|---|---|
| ライト | 画面1〜2枚、機能1つ。個人〜数人での利用 | 48時間 | ¥98,000 |
| スタンダード | 画面3〜6枚。データ蓄積・ログイン・通知・外部連携1つ | 5営業日 | ¥298,000 |
| 保守・改修 | 月2件までの改修、不具合対応は無制限 | 月額 | ¥30,000 |
第1段階(出荷を入れる画面、今日の出荷の一覧、納品書・現品票・受領書の印刷、CSV出力)はライトプランの範囲です。得意先ごとの様式を複数持つ、注文と結んで納入残を出す、締め日ごとに請求をまとめる、運送会社のソフト向けにCSVを出す——このあたりはスタンダードになります。様式の追加や、客先の様式変更への追随は保守の範囲(月2件までの改修)で対応できます。
出荷の数字を打つ回数が、出荷の件数と同じになる状態にします
いまお使いの納品書と現品票を1枚ずつ(得意先名と単価は伏せていて構いません)と、1日に何件くらい出荷しているか。それだけで十分です。画面が何枚になり、ライトとスタンダードのどちらなのかを1枚にしてお返しします。出荷が1日1〜2件で、書類も納品書1枚だけなら、この画面は効きません。そのときは、その理由も正直に書きます。相談は無料です。
メールで相談する 入力フォームで相談する今いちばん手間になっている作業をひとつ教えていただければ、その作業に合わせた試作画面を 1 枚、無料でお作りします。
その作業をここに書いて送る(無料の試作画面を頼む) →入力フォーム。会社名・お名前・メール・作業の4項目だけです。メールソフトは要りません。
ボタンを押してもメールが開かないときは
入力フォームからお送りいただけます(メールソフトは要りません)。メールでお送りになる場合は、下の内容をコピーして tool48h.studio@gmail.com 宛にどうぞ。件名は何でも構いません。
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